▲「富士塚」だけで日記が書けます♪▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
「そろそろ松明に点火だ。みんな山から下りて下りて。暗くなるよ」 空きっ腹にふるまい酒をいただいて、ふらっとしますが、講の方たちは大丈夫なんだろうか。 提灯の明りは消えました。登山道に沿ってジグザグに光が浮かびます。細い青竹に刺した108本の蝋燭の灯です。幻想的ですが、いつもはこんな姿の山ですよ。 講中が詞を唱え鈴を鳴らしながら、下りて来ました。さすがに頂上での表情とは違っている。 先達も地上に到着。 これからお焚き上げの儀式です。富士塚の前に設置された藁の山を回ります。 講の方が順番に、藁の山に向かい、4方向から祈祷を始めます。 そして、てっぺんに点火。 特別に大きな「大麻・おおぬさ」(神主がお祓い・お浄めにバサバサ振りかざすアレ)が 人の頭上を舞います。私は顔をなでられました(笑)。 大麻の白い幣にまとわりつく火の姿に見とれてしまう。火の形は生き物のようだ。 火は浄化をいたします。火から霊力をいただいている姿がそこにありました。 火力はすごく、熱さはハンパでねえ。「あぢぃよあぢぃよ。」子供たちも汗だくです。 「毎年来てるの?」「うん。毎年」「僕は初めて♪」 すると、ひとりが別の子に何か手渡した。金バケツとスコップでした。 この時点で私はまだピンときていませんでした。「?」の表情をした私に、バケツを受け取った子は「おばあちゃんに頼まれたんだ」とにっこり。 登山道にはぎっしり人が立ち、上からお焚き上げの様子を見ています。と、カランカランと金属の音がして何かが私の足元を通過し、落ちて行きました。拾い上げた人の手には、片手鍋。 「な・べ?」思わず声に出した私。でも、まわりは平然としています。そのワケはすぐにわかりました。 ああこれかー!まだ火が消えていないのに、炭になりかけた下のほうに向かって人が近寄ります。その数はだんだん増え、あれよあれよと松明に集まって来ます。消防士は落ち着きはらって見守ります。フシギな光景。 今まで気づかなかったけど、ほとんどの人の手元がこんなでした。この消し炭を持ち帰り、門口や畑に撒くといいとされているそうです。この地域の人にとっては大事なお守りです。バケツにあふれんばかりに盛った炭を下げている人も多い。そんなにたくさんどうするのかと聞いたら、近所にも配るのだと教えてくれました。なるほどね。 駒込富士の鎮火祭の時は、いったん上空に舞って、その後ひらひらと落ちてきた炭しか記憶にありません。「笹の葉っぱ、そのままの形だねー!」と、地面に散らばった黒い笹を見て、私は友人と驚いたのでした。同じ鎮火祭でも違うもんですなー。 炭拾いを誰かに託した人たちは、山から見物しています。 私もお山に登って見てみました。わー、火はまだ勢いが止まりません。 でも、ほどなくして、黒い炭と化した麦藁富士に人々は突進して行くのでした。 ちょっと他をうろついていた間に、炭の山はきれいさっぱりなくなって、人もまばらになってました。お山もこんなにひっそりと。お地蔵さんも火のそばで熱かったでしょうね。 夢のようなひととき……いや、狐につままれた気がしました。 でも、夢でも狐のしわざでもなかった証拠に、この後、講の方たちとまた杯を上げることになったのです。 つづく。 |
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プロフィール
HN:
芙蓉庵 (Yoko Arisaka)
性別:
女性
自己紹介:
▼▼▼【富士塚】とは▼▼▼
………………………………… 富士山に登りたくても登れな い人たちの為に、江戸時代に 関東各地に造られた「人造富 士山」のこと▲です。富士山 を信仰する▲▲▲富士講によ るもので▲▲▲▲▲したが、 地元に▲▲▲▲▲▲▲ミニチ ュア▲▲▲▲▲▲▲▲▲の富 士山が出来たことで、多くの 人が登山でき、大流行しまし た。民衆のパワーですね♪♪ 富士山の溶岩をのせ、一合目 から頂上まで登れるようにな っています。意外なところに ひっそりたたずんでますよ。 ………………………………… ▼▼▼【芙蓉庵】とは▼▼▼ ………………………………… 美しい作品も好きだけど、コ ンセプトありきで表現するこ とに喜びを感じるビジュツ家。 表現形態はこだわりません。 現在、富士塚のコンセプトに インスパイアされ、色々な媒 体で表現。著書の【ご近所富 士山の謎】【富士塚ゆる散歩】 も、私にとっては作品です。 なぜ富士塚か……それは、海 外生活での体験から。詳しく は本のあとがきに記してあり ます。 ★★★★★★★★★★★★★ お問い合わせ、ご連絡は↓ y♡k♡◆ris◆k◆.◆rtist★gm◆il.c♡m (♡をoに◆をaに★を@に変えて 入力して下さい) ★★★★★★★★★★★★★ 掲載の写真・イラスト・文章等の 無断使用・転載は御遠慮下さい ★★★★★★★★★★★★★
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