▲「富士塚」だけで日記が書けます♪▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
富士塚ナイトでは言いそびれましたが、私が独断で「イイと思う富士塚」は、

1 登りがいのあるもの(登山道が充実している。必然的に大型)

2 1とは対極で、極端に小さく、ムチャな造りでもコンセプトのあるもの

3 楽しいアイテムが満載のもの(さる・かめ・てんぐ・あと胎内)

4 清々しい感じのもの(清掃されている。いい「気」を発している)

です。1〜3は形状的に。4は聖地としての側面。最近は、塚の古さや歴史はあまり重視しないようになりました。歴史も大事でしょうが、塚の魅力は多角的な尺度を持ってこそ。現存するものは、少なからず工夫されているものです。セメントで補強しようが、改築で構造が変わろうが、残っているのは愛あればこそ。

ある先達が、「(祖父の代に)移築されて御胎内の位置が逆になっちゃった」と、残念そうに言っていたそうですが、それを聞いて、私はとてもお気の毒だと思いました。過去の富士講研究者が、あまりにも移築当時のことを嘆いたために、植えつけられた潜在的な罪悪感ゆえの言葉だからです。

現・先達には記憶のないことだし、先代や先々代にしても、学者が怒り狂うほどの心情だったかどうかはわかりません。多少形が変わっても、富士山に変わりはなかったのでは、と思うこの頃であります。

前置きが長くなりましたが、小島富士は、2と4の条件を備えていました。



塚の上には、よくある古めの祠がふたつ。奥宮と小御嶽(?)ですが、



足元には、それぞれの祠に向かって手を合わせるためのステップがつけられており、その手前には角形の石がその位置を導く役割をしていました。

このシンプルな配置がさりげなく、無理なく祠に接近できます。意外とこれには感動しました〜。ふと、歌舞伎町の稲荷鬼王神社にある西大久保富士を思い出しました。あれは、分断された苦肉の策がユニークに好転した例ですが、あの塚にもふたつのステップがつけられていました。

というわけで、ひとつでも段があることによって登拝を意味するのだと、足をかけてみてわかりました。(私のメタル富士にも1段〜3段つけてマス♪)

もうひとつの特徴は、ボク石のつけ方。











祠のまわりを重点的に、あちこちに立たせてありました。江戸川区の富士塚に多い工夫です。イイです♪

とにかくツルンとしていない。2002年に再築された深川八幡富士とは全然違う。

補足は、ところどころにつけられた丸石たち。





まるでミニ力石のようですが、長寸でも30cmくらいに小さい。山肌に変化があります。それにしても、岩のつなぎのセメントが見えない。どうやって接着したのでしょうか。。。

覗き込んでいたら、背後に人の気配。

イベントで話題になった「メンドくさいおじさん」でした。
富士塚マニアに遭遇するのは嬉しいことですが、たまにウンチクおじさんにつかまります。

「これはね、富士塚っていうんだよ」
「え?知ってるの?えらいね」
「へ〜好きなの?いくつ行ったの?」
「100?……ボクと同じくらいかな」
「○○神社にね。。。」

(自慢が始まるという)展開は慣れていますが、この時、雲がかかり始めていたので、撮影のタイミングばかり考えていました。思わず、
「ごめんなさい。明るいうちに写真撮らなくちゃ」
と逃げました(富士塚の数を張り合うつもりのない私)。

でも、時すでに遅し。わ〜ん。



暗いです!
神社がどれだけ高架道路や鉄橋に近いか、撮りたかったのでした。
では、八幡神社へとお参りします。小さな神社ですが、とても手入れが行き届いていて清涼感があります。この第一印象は大事。富士塚がどう扱われているかにも関わってきますから。



富士塚は、社殿参拝後、右側から奥へまわり込みます。



小さな鳥居をくぐると、稲荷神社の左に富士塚があります。この画面でも見えていますね。



これが「小島富士」。こんな名前の富士塚はたぶんどこのリストにもないと思いますが、古い町名を使っての命名にならうとすれば、この一帯はかつて小島町(現・西葛西)でしたから小島富士と呼ぶことにします。

それにしても小さい? 拍子抜けでしょうか?



まして、本殿の真裏に接近しているので、



私の小さなカメラでは、頑張って引いてもこれくらい。



塚の位置関係はこんなです。



富士塚は、隣接の稲荷神社、八幡神社本殿と仲良く西南を向いています。富士山の方角です。

あ、ウチワサボテンが。



富士塚の横の小さな庭の住人でした。なんでもありのスペースには、メチャ明るい大黒様や、プチ地蔵様、そしてサンゴまで。そう言えば、手水舎にシャコ貝の貝殻が何気なく置いてあるのを見て、ここの神職の方(または管理する方)は、南の土地が好きなのだろうと思っていました(笑)。「やっぱりね〜♪」と思いつつ、置かれたひとつひとつに心がこもっているのを感じました。

では、小さな小島富士に寄ってみます。
実は工夫が満載、パワー漂う素敵な塚だったのです。

つづく。。。
この惑星の歴史を考えると、当然ながら人類なんてまだ若い。
富士山を畏れたり、富士山に憧れたり、そこから信仰が生まれたり、富士山の溶岩で塚を作ったり。。。富士山を借景にしようが、富士山が見える位置に高架高速道路ができようが、どれもこれもほんの一瞬。ひとまとめで人類の歴史のうわずみだ。

もし、この世界が突然止まって何億年も経ち、建造物が朽ち果てずに残ったとしても、富士塚と高速道路の時代に差はない。「昔を想って遺物を味わおう〜♪」なんて言葉も通用しないし、何年に何ができたかとか、史実はこうだと論争するのも全く意味のないことです。

個人的なことを言えば、美術をやる者としてしばしばぬぐえぬものに、遺跡や自然へのコンプレックスがありました。作品を創れば創るほど、地球にとって不要のゴミを増やすだけではなのではなかろうかとか、後世に残る価値もないとか、いや、残す必要すらないとか。。。ぐるぐる考えがち。

そんな思考の呪縛から解放されるのは、ただ、「つくるという行為」の純粋さに目を向けるときでした。以前も書きましたが、その純粋な切望や行為は、人間にあたえられた、かけがえのないポジティブなもの。それがピュアであれば、自然を破壊することは決してないと。

そう考えることはココロの救済でもあります。と同時に、あらためて自然への感謝もうまれる。ある意味、クリエイティビティに対する健全な信仰ですね。「必要だから創る」でも「必要性に関わらずとにかく創りたい」でもいい。産み出すまでは、神様にやらされているのかもしれないから(笑)♪

そうだった、そうだった。共存について考えていたのでした。歩いてるうちに、エスカレートしちゃった。



西日が見せてくれたシルエットは饒舌です♪
東西線西葛西駅から(北側を)西方向に、てくてく。



「旧葛西海岸堤防」とあります。見える高架は、手前から、荒川/中川の上を走る「中央環状線」の乗り入れ付近、「東西線」の鉄橋、そして、永代通りへとつながる「清砂大橋」の乗り入れがあります。



そのまま、川を目指して歩くと「(小島)八幡神社」にヒットします。



もう「中川」の土手すれすれですね。



神社はこんな位置で、



砂町富士が対岸です。
(荒川/中川を境に、右が江戸川区、左が江東区)

つづく。。。
8本の車道と1本の鉄道が入っているこの画面。道の束だ。



ある意味ここはすごい。

物流と人間の移動がこれだけ行き交う場所として。

人間の体で例えれば、血管もしくはリンパ?



現代の動的エネルギー密集地点は、時折、驚異を感じる。

ふと、映画「KOYAANISQATSI コヤニスカッティ」の一場面が頭をよぎった。



この画面に富士塚も小さく入っています。

近年までここが波打ち際だったことを思いつつ、

共存とは何かを考えながら歩きました。

つづく。


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美しい作品も好きだけど、コ
ンセプトありきで表現するこ
とに喜びを感じるビジュツ家。
表現形態はこだわりません。
現在、富士塚のコンセプトに
インスパイアされ、色々な媒
体で表現。著書の【ご近所富
士山の謎】【富士塚ゆる散歩】
も、私にとっては作品です。
なぜ富士塚か……それは、海
外生活での体験から。詳しく
は本のあとがきに記してあり
ます。

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