▲「富士塚」だけで日記が書けます♪▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
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119点もの作品から成る「名所江戸百景」は、大きなテーマ。
1作品について語る尺も限られますね。
富士塚を知らない方に、富士塚を紹介する必要がありますから、
残念ながら、私が話した「画面からの考察」は割愛されましたが、
せっかくなので補足としてブログで紹介させていただきますね。



「目黒新富士」の寄りの画像を反転し、富士塚頂上付近の3人に
それぞれ A, B, C と記しました。

「目黒新富士」は、雪を残した遠方の富士山と、花見をする人々の
和やかな様子から、春の情緒がたっぷり描かれた逸品ですが、
この絵の一番の見どころは、この3人の人物の表現だと思っています。

Aの人物:

真ん中のひとりは、富士塚の頂上にたどり着いたところ。
目に飛び込んで来た富士山から目が離せず、ただ呆然としている様子。

Bの人物:

右に立つ人は、やや体をかがめ、手を上げながら顔はまっすぐ富士山に向いています。
これは「富士山を見て高揚する気持ち」と「富士山を拝みたい気持ち」
の両面を表しています。

Cの人物:

左の人は、へたり込むように座り、富士山に向かって静かに胸の前で
手を合わせています。富士山の神を拝んでいるような姿ですね。
(版によっては両手を垂らして見えるものもありますが、
正座していることが、富士山を敬う気持ちの現れだと思います)

3人3様に見えますが、私はこれらが、
ひとりの人物の3つの動作過程」を表しているように思えます。
A→B→Cという動作の流れです。

目黒新富士も富士講が関わっていますが、
ここでは富士講の人らしき白衣の姿を置いていません。
塚の麓には茶屋があり、花見をする人々が春を満喫しています。
江戸の町で見られた、こうした光景を通して、
信仰を持たない人つまり富士講に入っていなくても、
富士山を見て思わず手を合わせたくなる、という日本人の
「普遍的な富士山への気持ち」を描いたのだと思います。
ある意味、信仰心に近い心情でもあるのでしょうが。

さて、広重は、その心情をこの3人物に託して描くため、
大胆な視点を置きました。

富士塚の頂上付近、つまり3人にぐっと寄ったのです。
高い位置に視点を置いたことで、遠くにある富士山が
江戸庶民の目線に引き寄せられました。

これにはふたつの効果があると思います。

ひとつめは、
頂上にいる人物の目線に合わせたことによって、
この絵を見た人が、「彼らの目を通して」
富士山を拝むというイメージを持ち、
庶民の信心/心情に感情移入できるということ。
(番組内でも「感情移入が。。。」と話しています)

ふたつめは、
富士山(富士塚)から富士山(本物)を見るという
「奇妙な体験」を暗示していることです。
富士塚は、老若男女が登れる「富士山のうつし」。
頂上から富士山を遥拝するという聖地でもあるので、
「登る」と「拝む」の動作をします。
「富士山を二重に体現」する面白さですね。
この絵を見て、それを江戸の粋と感じ取った人は
多かったのではないでしょうか。

それにしても、番組内の「彫り」と「摺り」には
見応えありました。
私も学生の頃、本物の彫り師と摺り師による講義を
受けましたが、あらためて見るとインスパイアされる
ことが多々ありました。
よし、作品に生かしましょう。(今年の誓い!)








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芙蓉庵 (Yoko Arisaka)
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女性
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富士山に登りたくても登れな
い人たちの為に、江戸時代に
関東各地に造られた「人造富
士山」のこと▲です。富士山
を信仰する▲▲▲富士講によ
るもので▲▲▲▲▲したが、
地元に▲▲▲▲▲▲▲ミニチ
ュア▲▲▲▲▲▲▲▲▲の富
士山が出来たことで、多くの
人が登山でき、大流行しまし
た。民衆のパワーですね♪♪
富士山の溶岩をのせ、一合目
から頂上まで登れるようにな
っています。意外なところに
ひっそりたたずんでますよ。
…………………………………

▼▼▼【芙蓉庵】とは▼▼▼
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美しい作品も好きだけど、コ
ンセプトありきで表現するこ
とに喜びを感じるビジュツ家。
表現形態はこだわりません。
現在、富士塚のコンセプトに
インスパイアされ、色々な媒
体で表現。著書の【ご近所富
士山の謎】【富士塚ゆる散歩】
も、私にとっては作品です。
なぜ富士塚か……それは、海
外生活での体験から。詳しく
は本のあとがきに記してあり
ます。

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